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アート・デザインと人権 表現を考える 【ジェンダー編】

  • Admin
  • 2017年11月12日
  • 読了時間: 5分

先日、ムサビの学生に、「アート・デザインと、人権問題に何の関係があるのかわからない」といわれました。この場合は、ホモネタでした。ホモネタを再生産し、仲間内で楽しむ企画をパブリックな場でやるにあたって、「そういったものに鈍感であるのはクリエイターとして如何なものか」という言葉の返事です。

「鈍感な私はクリエイターに向いていないのか」と怒っていらしたけど、その通りだと思います。

現在はSNSの発達により、自分の意見を発信することが簡単にできるようになりました。その上、同じ考え、似た考えの人と繋がることも容易なシステムです。

そこで広告や企画などが「炎上」し、中止に追い込まれたというニュースも少なくありません。

2020年には東京オリンピックも控え、国際都市として東京が機能していくであろうそんな時代の中で、人種や民族、性的指向、宗教、障害、ジェンダーなどの問題に意識を向けずに作品を製作していくことは不可能です。ましてや、「そんなの関係ねえ!!!!」なんていうスタンスでは作品を世に出していくことはできないでしょう。

アートデザインと人権問題、関係、めっちゃありますよね。という記事を紹介します。

調べてみたら多すぎたので、ジェンダー編としてまとめます。

●「炎上」した性差別広告: エロ系

「性差別的だ」と放送中止になったCMや広告の中でもなぜか「エロ系」に突っ走ってしまったものに関する記事をまとめます。

『「お蜜」は旅の道中、ずんだ餅や牛タンなど、宮城県のアピールポイントをむすび丸に教えていく。しかし、その場面では唇のアップとともに「宮城、行っちゃう?」「ぷっくり膨らんだ、ず・ん・だ」「肉汁トロットロ、牛のし・た」「え、おかわり?もう〜、欲しがりなんですから」など、性的なメタファーとも取れる表現が繰り返される。

さらには、中盤で登場する亀の頭をなでて「上、乗ってもいいですか」とささやくと、興奮して顔を赤らめた亀が大きくなるという演出も。動画の最後は、壇蜜さんの唇のアップと「あっという間にイケちゃう」という言葉で締めくくられている。』

性的なメタファーとも取れる表現を多用した謎広告です。

しかしこの動画について、村井嘉浩・宮城県知事は定例記者会見で記者の質問に

『「誰も、可もなく不可もなくというようなものは、関心を呼びません。したがって、リスクを負っても皆さんに見ていただくものをと思いました」「私としては面白いと思っている。あれをみて『宮城に行かない』と、そういう感じにはならないのではないか」』

と発言。広告は自分の作りたいものを作っておしまいではなくコミュニケーションであるという意識が希薄だとしか思えません。

『動画では出張先で女性と出会い、食事をともにする様子が"体感"できるように描かれており、出演した女性たちは「二人っきりになっちゃいましたね」「肉汁いっぱい出ました」といったセリフを口にしている。商品のおいしさを表すために「コックゥ〜ん」という表現を使い、動画の最後は「コックゥ〜ん!しちゃった・・・♡」という言葉と女性の顔をアップにした映像で締めくくられている。』

これもAV的語彙を多用した謎広告です。サントリーという大企業がこれをやったことで、信用はガタ落ち。

ビールという商品=購買層は男性=性的に表現した女性を用いて購買意欲を高めよう!

という魂胆なのでしょうか。ターゲットとされた男性の購買層にも女性にも失礼です。

●「炎上」した性差別広告: 社会的抑圧系

『母親が一人きりで子育てに取り組む「ワンオペ育児」を美化し、賛美し、「母親は1人で頑張るべきだし、それが美しい」という社会的抑圧を強化している、と批判の声が上がっている。』

『「『がんばってる』を顔に出さない。」篇では、仕事に打ち込み、パソコンを睨みつけながらサンドウィッチをかじるナナ(小松菜奈さん)に対して、男性上司が仕事ぶりを評価する一方で「それが顔に出ているうちはプロじゃない」と外見を指摘、友人からも同じ指摘を受けるという内容。

メイクを変えたナナは、後日その上司も振り返る「いい女」になるという内容になっている。』

社会的抑圧系のCMは正直、まだ炎上していない/鈍感さで看過されてしまっているギョッとするようなものがいくらでもあると思います。

「お母さんがエプロン着て朝ごはんを忙しそうに用意しながら弁当を忘れた長男に走って届けにいく中、お父さんはコーヒーをすすりながら新聞を広げている」とか、「子供とお父さんはご飯をかきこんでいるのにお母さんだけエプロンのままおかわりの準備をしている」とか。

この規制が日本で適応されたら日本のテレビは広告が流せなくなるといっても過言ではないと思います。

●Femvertising

それに対し、海外では #Femvertising(FeminismとAdvertisingを合わせた造語)が流行。

フェミニズムのメッセージやイメージを用いた広告のことです。

『カンヌライオンズ』のグランプリをはじめ、数々の広告賞を受賞したP&Gの生理用品ブランド「Always」の広告を紹介しています。広告を通じて「女の子らしさ」の本来の意味や、子どもが成長するにつれて社会が植え付ける「女の子らしさ」の固定観念について問う、広告はものを売るだけではなくそういった議論も巻き起こすことができるという良い例です。

動画のキャプションにつけられた文。

Women don’t bleed blue liquid, they bleed blood. Periods are normal.

(女性は青い液体を流さない。赤い血を流す。生理は普通のこと。)

生理、という表現を避け「女の子の日」などの婉曲表現を用いたり、生理用品を購入すると何も言わなくても紙袋に入れて外から見えないようにされる、などタブー視されがちな生理も、『普通のこと』です。

是非読んでみてください。

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武蔵野美術大学内でもやっと活動しているグループです。月一の映画会と週一のランチ会、ワークショップ、展示など。

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