痛快ガールズストーリーNHKドラマ「女子的生活」に見るトランスジェンダーのセクシュアリティ
- mimi
- 2018年1月25日
- 読了時間: 4分
トランスジェンダーでレズビアンの女性が、自分の理想の女子的生活を送って行くストーリー。

NHKの公式サイトの、主人公の「小川みき」の紹介で
『主人公はトランスジェンダー“女子”!』
『みきの性別は男性なのですが、見た目はスラリとした美人。しかし、男に興味がなく、好きになるのは女性、という“複雑な”人物なのです。』
“女子”とか“複雑な”人物、とか、何その空中クオーテーションマーク???と若干内容が不安でしたが、実際見てみるとかなりちゃんとしてました。
ファストファッション会社で働くトランスジェンダーの「みき」は、性別適合手術は受けていないため、身体も戸籍も男性ですが、女性として会社では過ごしています。そしてトランス女性でありレズビアンであることをカミングアウトしている様子。会社の同僚もそれを受け入れ、女子トークに花を咲かせ、上司の陰口を言ったりします。
就職面接で、スカートのリクルートスーツに身を包んだ「みき」の、男性に丸がついている履歴書を見た上司が「面白いじゃん!男でも女でもどっちでもいいよ、うちの服が似合うなら性別なんて結果オーライってことで!」と明るく言い放ったところはスカッとしました。
テレビの中では、ドラアグクイーン、女装家、ゲイ、MtF、可愛らしいものが好きな男性(!)などがひとまとめに「オネエ」「オカマ」と括られている場合が多くあります。
可愛らしいものが好きな男性について補足すると、タレントのりゅうちぇるさんは、男の子として可愛いものが好きで、何をしてもからかわれることが多かったといいます。
本人は自分の過去についてこう語っています。
「ぶっちゃけ、これで男の子が好きな方がまだわかりやすいし、楽って思っちゃってた。それか普通の男の子になりたいと思ってた。こんなにかわいいものが好きなのに、なんで女の子が好きなんだろうって」
つまりりゅうちぇるさんは、可愛いものが好きで、フェミニンな男性は「オネエ」や「オカマ」で、男性を好きになるものだ、というメディアのイメージを内面化していたのだと思います。
実際にメディアの中で、「オネエ」タレントとして活躍している芸能人は男性芸能人に性的な絡みをパフォーマンスしている場合が多く、「襲われるんじゃないか」など、男性が好きであるという要素をデフォルメしてお笑いを作ろうとする制作はよく見られます。
そんな中で、身体の性が男性のトランスジェンダー女性・みきが女性を愛するレズビアンとして描かれたことは大きな衝撃をもたらしたと思います。「男が好きだから女になりたいのでは?」というありがちな誤解と偏見をはねのけた痛快ストーリーでした。
今回「女子的生活」でトランスジェンダー指導をされていた西原さつきさん演じる「ともちゃん」は、みきと同じくトランスジェンダー女性ですが、レズビアンであるみきに対し、ともちゃんはヘテロセクシュアル、男性が好きな女性として描かれています。
「男が好きな」「元男の」「オネエ」「オカマ」として描かれてきたトランスジェンダーのセクシュアリティの多様性を、国産ドラマで表現されたというのは、日本のメディアの歴史の中でかなり大きなポイントとなったのではと感じました。
個人的な感覚。
LGBTなんて言葉は聞いたこともないような私の母が「女子的生活」に興味を持って、「録画しといたよ」と声をかけてくれたのは少し驚きました。どういう意図で興味を持ったのかは定かではありませんが、こういったドラマがテレビで、日本語で見れることによって、家族や友人との話のきっかけになることもあるのでは。
しかし序盤にも書いたけど、公式サイトの『みきの性別は男性なのですが、見た目はスラリとした美人。しかし、男に興味がなく、好きになるのは女性、という“複雑な”人物なのです。』っていう説明がモヤる。
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