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「オーストラリアで同性婚ができるようになった」?

オーストラリアでは、今年9月ごろから、同性同士のカップルが結婚をする権利を得ることに賛成か反対かを問う郵便投票が行われていました。

実際に届いた手紙はこんな感じ。

「同性カップルが結婚できるようにするために、法律を変えるべきだと思いますか?」

はい□ いいえ□

いやこんなのグーグルフォームでやれい!!!!!!!!!!!!!!!!!

と叫びそうになるのは多分みんな同じです。2017年やぞ!

私のガールフレンドはオージーで、さっきの写真は彼女から送ってもらったものなのですが、「血税がグーグルフォームの印刷に使われてらあ…」とぼやいておりました。

もちろんこの「郵便」という方法をとったのには理由があるんですね。

①国民投票は莫大なお金がかかる。

②しかも国民投票で決めたら議員が立法府の責任を回避してることになるんじゃない?

という感じ。私は個人的に「若い子なんて郵便の出し方わからんやろw」というおじさんたちの意見が反映されている気がします。個人的に。

●同性婚合法化、まだです

「わーいオーストラリア、同性婚合法化されたよ」という反応の方をちらほら見かけましたが、まだです。

今は「国民が同性婚に結構賛成してるっぽいし、じゃ、議会に法案してみる?」という段階。首相はクリスマスまでの合法化を目指すと言ってはいるけど、まだ何が起こるかはわかりません。

オーストラリア出身の俳優、Ruby RoseがTwitterで言ったように、まだオーストラリアにとってはthe baby stepsなんですね。

●YES派とNO派の攻防

賛成派だけでなく、アンチゲイの反対派までもがここぞとばかりに'SAY NO'(同性婚にノー)という広告やネガティブキャンペーンをばら撒いていたと言います。

広告を流すだけでなく、家のポストに「反同性婚ビラ」がねじ込まれることもあったようで、私の友人もFBで怒りのコメントとともに紹介していました。

わざわざ中国語翻訳付き。まあ、ありがとうございますわざわざ。

「同性愛は家族を崩壊させる!」「同性愛者のアナルセックスはエイズの原因!」

って、どこの国でも言うことはだいたいおんなじなんですね…。

米印の文を雰囲気で訳します。


「この法案が通ってしまった暁には、もはや女性に安全な場はありません…。もはや男性用/女性用と分けられた公衆トイレや更衣室やシャワールームすらなくなってしまうでしょう。偽物のとらんせくしゅある(トランスセクシュアル?)女性が法の下に守られ、学校の女子トイレに入ることを許されるのです!『男子禁制』の女子トイレに、とらんせくしゅあるに扮した者が忍び込むことによって、レイプ被害は増すことでしょう。同性婚を合法化した国の、更衣室でのレイプ被害の件数を見れば明らかです。これが動かぬ証拠です!」

そうですか………。ってか綴り間違ってるし!

しかも、今回の論点は「同性同士で結婚できるようにしますか?」という点。

同性婚の議論の中で「トランスジェンダーは別に関係ない」と切り捨てる声もなくはありませんが、トランスジェンダー、と言っても生まれてきた体の性の生殖機能を残す判断を下した人や、戸籍は変更していない人、色々います。

トランスジェンダーで、恋人は同性という人ももちろんいます。トランスジェンダーでも同性婚する可能性は十分にありますから、確かにトランスジェンダーも問題の中にいる人々ですが、今回の論点はあくまで同性婚。性自認にあったトイレや更衣室を使えるようにするという法律ではありません。

私の友人の怒りのポストに、「ん?これって、トイレの床?ってことはこれ、トイレットペーパーってことでしょ?」というコメントがついていて笑いました。笑い飛ばせる人って強い!

もちろんNO派のネガティヴキャンペーンだけではなくて、YES派の広告もたくさんあります。

これはシドニーのプライドパレードを主催するSydney Gay and Lesbian Mardi Grasが2017年2月に公開した"The Big Deal"という短い動画。直接今回の郵便投票と関連しているわけではありませんが、とってもオージーで笑えます。

お庭で楽しくバーベキューパーティーをしているオージー一家。お父さんの誕生日パーティーです。「じゃ食べましょ」と食事にバーベキューソースをぶっかけまくる家族。

サラダもソーセージもパンもバーベキューソース!

かけすぎ!

和やかな雰囲気の中、突然立ち上がる息子。

「実は俺、……つまり、その、」

「トマトソースが好きなんだ。」

…………えっ!!!

凍りつく家族。

お父さんは受け止めきれずにその場を立ち去ってしまいます。

思い悩むお父さん。

庭にずんずんと戻ってきたお父さんに、お母さんや娘は駆け寄ります。彼が殴られると考えて、止めに入ったのです。

しかしお父さんは息子を強く抱きしめ、キス。

不安そうにみていた息子の恋人とキスを交わし、

手を重ねます。

和やかなムードの中、パーティーは再開。

「単純な違いなんて、大問題になるべきじゃない。」とテロップ。

この一家の中でのマジョリティであるバーベキューソース好きに対して、トマトソース好きの息子はマイノリティです。だけどそれがなんだ。It's not a big deal. (大したことないよ)というCM。さりげなく彼のパートナーとお揃いの指輪をつけているし、キスもしていますが、この家ではトマトソース好きであることの方が重大な事件だったようです。それぐらい同性愛は大した問題じゃないということを表現しています。おばあちゃんが「1964年にね、あたしもトマトソースを試したことがあるんだよ」と言って娘に止められてるのもめっちゃ面白い。

頑張れオーストラリア。あともう少し!

About Us

武蔵野美術大学内でもやっと活動しているグループです。月一の映画会と週一のランチ会、ワークショップ、展示など。

​全人類歓迎。

のんびりと。

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